Mirai Lab.賃貸経営の未来を作るコラム

新型コロナウィルスが不動産動向に与える影響は?-春の繁忙期レポートと今後のシナリオ

2020年3月にWHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言、日本国内でも感染拡大が続き、4月7日、ついに緊急事態宣言が発令されました。
その後も新型コロナウィルスの感染拡大はさらに加速しています。

春の賃貸繁忙期シーズンを直撃したこの事態は、例年とは違った市場の動きと新たなリスクを生み出しています。
本コラムでは、弊社法人賃貸担当者・管理担当者より聞き取りを実施し、いま、賃貸の実際の現場でどのようなことが起こっているかをお伝えし、収束の目途が見えない新型コロナウィルス感染症の感染拡大によって想定される、賃貸市場の今後のシナリオについてご紹介いたします。

 

■大打撃の空室対策、民泊と平年水準と同等推移のマンスリー物件              

賃貸市場で最もコロナウィルス感染症の“被害”を受けているのは、空室対策のひとつとして近年その数を増やした「民泊物件」、つまりインバウンドや、旅行・観光、企業活動などに関わる業態です。
海外からの渡航禁止により、インバウンド需要はほぼ消滅し、各種イベントの自粛により国内の動きも激減しています。

大型施設の休業もあり、大阪市内の民泊稼働率はすでに10%前後の稼働率となっており、大手民泊運営事業者ではコロナ感染患者の隔離施設としての利用を提案するなど、少しでも損失を抑えようとする動きも出ています。
それでも、これらは当面の対応策でしかなく、今後この感染症の収束が長引くと、撤退・廃業となる運営企業が増えると予測されます。
また、建物内に一部民泊運営客室を有する物件では、インバウンドの利用実績から風評被害が生じる可能性も高まっており、現時点では業界として最も大きな打撃を被っていると考えられます。

逆に、同じような業種に見えるマンスリー物件ですが、稼働状況そのものは例年と大きく変化は見られず、企業活動の減少などによる影響は小さいものとなっています。さまざまな要因が考えられますが、普段マンスリーマンションの利用が多い、「設備系」の業態では、製造業の休業を受け、工場内の設備点検やメンテナンスの依頼が増えていることもあり、自粛ムードと逆行して安定した運営となっています。ただし、“利用者が増えた”わけではなく、あくまでもこれまでお盆や年末に行っていた作業を前倒しして対応している状態であるため、今後の稼働率の低下のリスクは残っていると言えるでしょう。

賃貸不動産オーナーにとってのリスクは、これらの業態の撤退による空室リスクの増加といえます。
長期間の安定した収入となっていた企業契約の部屋が空室となる状況も想定しながらの経営戦略が必要となってきます。

■民泊物件運営オーナー様向け新型コロナウィルス対策のお問い合わせは… ≫こちら

 

■2020年、春の不動産賃貸の動向は?                          

さて、2020年の春の不動産賃貸の動向はどうでしょうか
弊社では大手企業を中心とした法人賃貸仲介事業を展開しており、今春の動きをレポートします。

新型コロナウィルスが中国で大流行の兆しを見せ始めた1月、2月はほぼ例年どおりの動きとなっており、弊社管理の物件のリーシング状況も同様となっていました。大阪市内の賃貸仲介の動きは例年よりやや早く、2月中旬から問い合わせ、決定件数が伸びる動きとなっていました。
WHOがパンデミックを宣言した3月、いよいよハイシーズンを迎えた初戦は、企業の異動状況も例年と大きく変わらず、3月中旬までの案内・決定件数もほぼ予定件数となっています。しかし、3月中旬以降、例年と比較すると、新入社員を除いた異動の動きは鈍いように感じます。
日本国内での感染者の増加を受け、“案内なしでの物件決定”も増え、この動きはまだしばらく続くことでしょう。

4月に入り、緊急事態宣言が発令された1週目以降、法人及び管理物件の問い合わせ件数は大きく減り、新型コロナウィルス感染症の拡大状況に合わせて異動を見送っている企業も多くみられます。ただ、状況によっては6月・7月といった例年にはない時期での異動にも含みをもった状態であると言え、4月段階で空室となっているお部屋に関しては、5月中に対策を行うことをお勧めします。

 

■新型コロナウィルスの影響、今後のシナリオは…                     

不動産業界では、直近の影響はまだまだ少なく、新型コロナウィルス感染症の拡大が一日も早く収束すれば大きな問題は生じないといえます。ただし、この状況が長引くと…さまざまな影響が考えられます。

◇企業の異動・新規採用数の減少による入居減 
様々な業界・企業でリモートワークなど新たな取り組みが始まっており、このリモートワークの推進による働き方そのものに変化が生じる可能性があります。転勤や異動といった、入居理由そのものにも大きくかかわる可能性も高く、コロナの影響により来春の新卒採用者数の減少も想定されます。実際に来年度の採用活動は、多くの大手企業でストップがかかっている状況で、春の繁忙期シーズンに大きな影響を持つ企業の人事スタイルの変化は、見逃せない要素となります。

◇収入減や解雇による退居リスク
飲食店や旅行業など、今回の新型コロナウィルス感染症により大きな影響を受けているいます。今後、ますます状況が悪化した場合、退職者や解雇者が出る可能性があります。
また、収入の減少により賃料の支払いができなくなり、退居せざるを得ないという可能性も否定できません。

◇もし、物件内で感染者が出たら… 
新型コロナウィルスの感染拡大は、社会不安を煽るとともにさまざまな風評被害も生み出しています。
万が一、所有の物件の入居者に感染者が発生した場合、室内だけでなく、建物全体の消毒が必要となるかもしれません。こういった情報は、入居者からSNSなどを介して「新型コロナが発生したマンション」として拡散されることも十分に想定されます。
こういったケースでの対応も含め、管理会社と十分に打ち合わせを行い対応方法を検討しておきましょう。

■最後に、本当に怖いのは…                               

今後、さまざまなシナリオが想定される新型コロナウィルス感染症の拡大ですが、特に「来春」にもっとも影響が現れると予想されます。
企業の人事異動や転勤そのものへの考え方の変化、飲食・旅行業界など、現在大きな被害が生じた企業の動き、入居者の暮らしや経済状況の変化…、さまざまな要素のひとつの「結果」は、来年の春の繁忙期に表面化します。
「繁忙期」そのもののとらえ方が変わる、そんな可能性さえ十分にあると言えます。

今春、無事に満室となった不動産資産に安心してしまうことが、今、最も注意すべきことかもしれません。
管理会社としてご提案できることは、今のうちに入居率を向上させ、リノベーションなどで魅力的な、住みたい部屋づくりを進めること。キャッシュフロー診断をもとに、現在の経営状況を把握し、借入金の圧縮や賃料の見直しなどで大幅な体質改善を行い、次に備える体力をつけていただくためのサポートを行うことです。

これまで誰も経験したことのない、未曾有の状況となった「今」だからこそ、
しっかりと、不動産経営を考えることが重要だと考えます。

 

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