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不動産業界が震撼する『ウッドショック』とは?不動産投資にどんな影響が考えられる?

昨年終わりごろよりWebニュースなどでも取り上げられるようになっていた『ウッドショック』ですが、いよいよ新築住宅の工期延長など、不動産業界にさまざまな影響が表面化してきており、テレビなどの大手メディアでも取り上げられるようになっています。

ウッドショックを簡単に説明すると、アメリカや中国などでの木材需要が急激に高くなっていることから、日本国内で使用する木材について、諸外国に買い負けてしまうという状況になっており、日本に入ってこない…仕入れることができても価格が高騰している…などと言った問題を指しています。そもそも、日本という国は、国土の約7割が森林というほどの森林大国なのですが、住宅などを建築する際に使われる木材に関しては、その多くが輸入に頼っています。林野庁の「木材供給量及び木材自給率の推移」を見てみると、木材自給率な徐々に向上していると言われるのですが、それでも35%程度にとどまっており、多くを輸入木材に頼っているのが実情なのです。

現在は、新型コロナウイルスの影響で、さまざまな業界が打撃を受けている…と言われているのですが、不動産業界の木材不足は「なぜ起こっているのか?」不思議に思ってしまう方も多いことでしょう。そこでこの記事では、不動産業界を震撼させている『ウッドショック』がなぜ起きているのか、またウッドショックが不動産投資業界にどのような影響を与えるのかについてご紹介していきたいと思います。最近では、インターネットでウッドショックについて検索すると「ウッドショック いつまで」「ウッドショック 見通し」などというワードが関連キーワードに表示されるほどですので、多くの方が心配しているものだと思います。

参考データ:林野庁『「平成30年木材需給表」の公表について

ウッドショックの背景とは?

 

それではまず、日本の住宅業界を震撼させていると言われる『ウッドショック』について、「この問題がなぜ起きているのか?」について簡単に解説しておきましょう。

冒頭で触れたように、ウッドショックは、住宅を建築するためには必要不可欠な木材が「日本に入ってこない…」「入ってきても価格が急激に高騰している…」という問題を指しています。コロナ禍の現在では、さまざまな業界の動きが止まっているように考えられており、「新たな家が建たなくて木材が余るなら理解できるけど、木材が足らない…って何でなの?」と疑問に思ってしまう方が多いのではないでしょうか?

実は、さまざまな業界が新型コロナウイルスの影響を受けている中、不動産業界についてはテレワークの推進などの影響から、住み替え需要が高く、好調に推移しているのです。特にアメリカなどに関しては、新型コロナウイルス感染拡大による景気悪化を回避しようと大規模な金融緩和策が繰り出され、歴史的な低金利状態にあると言われています。そして、テレワークの普及推進があったことから、戸建て需要が急激に高くなってしまい、木材が国内消費に回されるようになっているのです。さらに、新型コロナウイルス問題をいち早く解決したと言われる中国などでも、住宅需要が高く世界中の木材を買占めに走っているなどと言われています。

このような状況の中、建築木材の多くを海外からの輸入品に頼っていた日本では、世界的な木材需要の高まりによる価格高騰などが原因で買い負けしてしまうなど、日本国内で消費する分の木材が確保できない…なんて状況になっているわけです。昨年の同時期には、新型コロナウイルスの影響で、トイレなどの住宅設備関連の材料不足が問題となり、住宅の工期が遅れてしまう…などということもあったのは記憶に新しいですよね。この問題に関しては、数カ月で解消されたため、「木材不足もそこまで深刻に考えなくても良いのでは?」と思ってしまうかもしれませんが、ウッドショックはそれよりもかなり長引くと予想されており、現状では収束のめどすら立っていないと言われています。

ウッドショックの原因を知っておこう

 

それでは、昨年末より不動産業界で問題視されている『ウッドショック』について、この問題が発生してしまったいくつかの原因をご紹介しておきます。上述したように、輸入木材に頼っていた日本では、世界的な木材需要の高まりのあおりを受けている…という状態なのですが、この木材需要の高まりは以下のような事が原因だと言われています。

  • ①アメリカの新築需要が急激に高くなっている
    まず一つ目は、アメリカでの木材需要の高まりです。アメリカでは、コロナ問題による景気悪化を回避するため、大規模な金融緩和策が繰り出され、歴史的な低金利状態になっています。この影響で、米国の住宅着工戸数は十数年ぶりの高水準になっているうえ、巣ごもりによるDIY需要も非常に高くなっているそうです。つまり、アメリカでもコロナ禍による在宅勤務の影響から、戸建て需要が高まり、アメリカ国内の住宅市場が一気に活況になっているのです。このため、輸出に回されていた木材資源などがアメリカ国内で消費される、欧州などから輸入量を増やすという動きになり、日本に影響が生じているわけです。
  • ②中国による木材の買い占め⇒価格高騰
    中国は世界に先立って新型コロナウイルス問題を克服したと言われています。そして、そんな中国でも住宅市場が活況になっており、「中国市場」という非常に大きなマーケットを背景に、輸入木材の買い占めを行っている状況にあります。もともと森林大国の日本が輸入木材に頼っているのは、国内木材よりも安価だというメリットがあるからです。しかし、大きなマーケットを背景に高値で買い占めが行われるようになったことから、世界の木材市場相場が変動し、今まで安価で木材を仕入れていた日本が買い負けして調達できない…、もしくは高値で買うしかない…という状況にあるわけです。これがウッドショックの二つ目の理由です。
  • ③輸入手段(コンテナ)がない
    最後は、輸入手段の問題です。新型コロナウイルスは、世界中に深刻な打撃を与えており、諸外国ではロックダウンなどの非常に強い措置が行われましたよね。そしてこの影響で運輸業の労働者が減少してしまい、世界中の港でコンテナが滞留してしまう…という問題が起きているそうです。さらに、中国やアメリカが自国へのコンテナ確保に動いているということから、他に回ってこないという状況がおきていると言われています。これも、日本国内のウッドショックの大きな原因となっていると言われます。

このように、不動産業界を震撼させているウッドショックは、アメリカや中国などの住宅市場の活況が、日本に大きな影を落とすことになっていると言われています。③の輸入手段に関しては、徐々に解消されてきていると言われていますが、その他の問題に関しては、かなり長引くと言われています。もともと、日本国内に流通する輸入木材に関しては、フィンランドやスウェーデンなどの欧州産木材が約8割を占めていると言われています。そして現在は、この欧州産木材がアメリカに向かっているという状況が、「木材が日本に入らない…」「仕入れ価格が高騰している…」という問題を引き起こしており、ウッドショックの今後の見通しすら立たないのが実情だと言われています。

ウッドショックは「外国のせい!」とは言えない…

 

ここまでの説明をみれば、新型コロナウイルスの影響で、日本国内だけでなく世界中で社会生活の変化が起こってしまい、その影響で諸外国の戸建て需要が高まり、世界的な木材不足が引き起こされた…というのが主な原因と考えられますよね。つまり、日本国内の不動産業界を震撼させているウッドショックについては「外国のせいだ!」と考えてしまうものですが、実はそうとも言えないのが実情なのです。

なぜかというと、そもそも日本という国は、国土の約70%が森林というスーパー森林大国な訳です。要は、日本国内には、そもそも輸入に頼らなくても『木材』はたくさん存在するのに、外国の動向一つでここまでの木材不足が発生することの方がおかしいのでは…と考えなければならないのではないでしょうか。
しかし、日本国内の林業は、深刻な人手不足を抱えていることや、長く低迷しているといった事が原因で、国内の森林から木材を得ることよりも、海外から木材を購入したほうが安価になるという状況になっており、住宅業界で使用する木材の多くを輸入に頼っていたわけです。つまり、海外から木材が入ってこない…などというウッドショックが発生したからと言っても、「国内の木材に切り替えよう」などということができない…状況になっているわけです。これは、長らく「輸入の方が安いから海外の木材を利用する!」という油断から、国内の林業を衰退させてしまった…というのが根本的な原因とも考えられるのです。

さらに、中国やアメリカの木材買占めに対抗できない原因としては、少子高齢化も大きな要因と言われています。『超高齢化社会』などと言われる日本では、社会構造的にも、今後どんどん新築住宅が必要になるなどという状況にはなりにくいと考えられています。つまり、そもそもの木材需要の問題から、アメリカや中国が参戦している世界的な『木材獲得戦争』の中で、諸外国に対抗して買い勝ち続ける…ということが難しい状況になっているわけです。

このように、今回のウッドショックは、諸外国の動向が大きな原因と表面的には見えるのですが、その背景を深く考えてみると、日本のこれまでの動向が根本的な原因と考えられるわけです。こういった事を踏まえると、今までのように安価な輸入木材に頼りきりになるのではなく、今後は国産木材を十分に活用していく体制を構築するのが非常に重要になるのではないかと考えらます。もちろん、長らく低迷状態にある国内の林業に、いきなり頼るというは難しいでしょうし、徐々に国産木材の安定供給への道を作っていく必要があるでしょう。

不動産投資に何らかの影響はある?

 

それでは最後に、不動産業界を震撼させていると言われるウッドショックについて、この問題が不動産投資業界にも何らかの影響を与えるのかについても考えてみましょう。現在では、多くのハウスメーカーや工務店などにおいて、木材が従来通りの仕入れができない…などと卸業者から言われているという状況になっています。実際に、木材の卸値に関しては、かなり値上がりしていると言われており、アメリカなどではこの1年で木材の先物価格が4倍にまで上昇していると言われています。さらに、日本国内では仕入れ価格が上がっているだけでなく、確保すら難しい…などと言われるようになっており、新築業界では工期の保証ができない…という状況も出始めています。

当然、不動産投資業界でもウッドショックによる影響は考えられます。不動産業界への影響に関しては主に『建築費の上昇』と『納期の問題』が考えられます。

不動産投資で真っ先に浮上する問題となるのが、アパートなどを新築しようと考えた場合、建築コストの増大によって地主・投資家の資金計画が狂わされてしまう…なんて問題です。また、木材不足で、着工・竣工の時期が計画よりも後にずれ込んでしまう…などという問題もあるでしょう。
例えば、計画通りにアパートが建築できたとしても、建築コストが増大してしまっていれば、借入額が増えてしまい返済計画の見直しが必要になることが考えられます。さらに計画以上に建築にお金がかかってしまった場合、相場よりも家賃を高く設定してしまい、リーシング(入居者誘致)活動に悪影響が出てしまう…なんて懸念もあります。さらに、工期遅れが発生してしまうと、「借り入れの返済が始まっているのに、いつまで経っても建物が完成しない…。」などという、想像しただけで恐ろしい事態が発生する危険もあるのです。

このように、今回のウッドショックは、不動産投資業界にもかなりの影響が生じてしまうと考えられます。

執筆スタッフ株式会社アイ・ディー・シー広報

株式会社アイ・ディー・シー広報のMです。
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