Mirai Lab.賃貸経営の未来を作るコラム

所有物件が老朽化したから建て替えしたい。ところで現入居者はどうしたらいいの?

長年賃貸経営を行っているという方や、親から賃貸アパートを相続したという方であれば、建物が老朽化していることから、「思い切って建て替えしようか」と考えるケースもありますよね。どのような建物でも同じですが、適切にメンテナンスを行っていたとしても、一度建てた建物が一生利用できるということはなく、いずれ建て替えもしくは更地にして売却するという場面がやってきます。

それでは、こういった賃貸物件を建て替えしたいと考えた時、物件にまだ入居者がそれなりに住んでいるケースではどのような対処をすれば良いのでしょうか?賃貸物件の所有者からすれば、「老朽化が原因で建て替えするのだから、出て行ってもらえば良い!」と考えるかもしれませんが、「老朽化による建て替え」などの貸主側の都合の場合は、そう簡単に出て行ってもらうことなどできません。
そもそも、家賃滞納など、借主側に明らかな問題がある場合でも、裁判しなければ立ち退きしてもらえない…なんてケースも珍しくなく。賃貸経営をする上では、立ち退きに関するトラブルは非常に発生しやすく、またなかなか解決することが難しい問題なのです。

そこでこの記事では、貸主の都合で立ち退きをしてもらう場合の基礎知識をご紹介していきます。

そもそも、そう簡単に立ち退きしてもらうことはできない!

 

それではまず、賃貸物件を所有している方がおさえておきたい立ち退きに関する基礎知識をご紹介していきます。貸主側が入居者に対して立ち退きを要求するケースというのは、一般的に以下のような理由が考えられます。

  • ・建物の老朽化が目立ってきたので、建て替えを検討している
  • ・物件を売却したい、更地にして売却したい
  • ・都市開発事業などの理由により、立ち退きをしなければならない
  • ・家賃滞納や騒音問題など、入居者がトラブル原因になって困っている

上記のように、貸主が入居者に立ち退きを要求するのにもさまざまな理由が考えられます。そして、入居者を立ち退きさせるには、『正当事由』があることが前提とされています。というのも、賃貸契約というものは、貸主と入居者との合意で成り立っているわけですので、「他の入居者とトラブルを起こす」「何カ月も家賃を滞納している」と言った感じに入居者に明確な問題が無ければ、貸主側から一方的に契約を解除できない言う法律の考え方があるのです。

つまり、貸主が退去してほしいと思っても、それは入居者との合意が無ければ、賃貸借契約の解除ができす、居座られても文句を言えないわけです。こういった事から、立ち退きに関しては裁判沙汰になることが珍しくなく、裁判を起こして「正当事由がある」と認められれば強制的に退去してもらうことができるのです。なお、裁判にて「正当事由」と認められるのは、以下のようなケースです。

  • ・入居者が家賃を滞納していて、適切に催促しているのにそれに応じない場合
  • ・建物が新耐震基準を満たしいない、著しく老朽化しているなど、地震などがあった際に倒壊の危険性が認められるなど、やむを得ない理由が認められる場合

上記のような正当事由が認められ、妥当な立ち退き料を補填することで最終的に判断されることになります。
入居者に問題がある場合などは強制執行などの強い措置ができますが、建物の建て替えなど、貸主都合による立ち退きは、あくまでも「入居者にお願いする」という立場になります。特に、建物の価値をあげたいから建て替えたい、建て替えして自分たちが住みたいなどと言った理由の場合、自分の所有物件だとしても、正当事由と認められることはありません。
このような場合は、高額な立ち退き料を設定して、入居者と交渉し、合意を得られた場合に賃貸借契約を解除して立ち退いてもらうという流れになります。

『正当事由』はなかなか認めてもらえない

 

賃貸物件は、所有者のものですので、立ち退きに応じてくれない入居者がいても、裁判に訴えれば『正当事由』が簡単に認められると考えている方が多いです。しかし、貸主都合で契約解除が認められるために必要な『正当事由』は、ほとんどのケースで認められないというのが実情です。例えば、家賃滞納があったとしても、最低3カ月以上の滞納が発生していて、催促などにも応じず入居者が支払う意思を全く見せない…という場合以外は、裁判を起こしても認められない可能性が高いのです。

つまり、建て替えのために立ち退いてもらいたいと思っても、理由によっては正当事由が認められないというケースも普通にあると思っておきましょう。したがって、貸主の都合で立ち退いてもらいたいという場合は、高額な立ち退き料を提示するなど、入居者との交渉によって立ち退きに合意してもらうということを前提に置いておいた方が良いかもしれません。

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立ち退き交渉の基本的な流れ

 

それでは、「物件が老朽化したから建て替えしたい」などという場合に、入居者と立ち退き交渉を進める時の流れについて簡単に解説していきましょう。

STEP1 立ち退き理由や経緯を書面にて通知する

 

まず第一段階として、建て替えの予定があることを、書面にて入居者に通知しましょう。入居者とのファーストコンタクトとなりますので、送付する書類の文面には細心の注意が必要です。

老朽化が原因などの場合、建物が古くなってしまい、安全面や機能面を考えた場合、どうしても建て替えの必要があることを丁寧に説明してください。また、これと同時に、任意での退去に協力していただきたい旨を低姿勢な印象が伝わるように記載しましょう。

ここで入居者に悪印象を与え、気分を害されてしまうと、後の交渉がスムーズにいかなくなってしまいます。

STEP2 口頭で入居者に詳細説明をする

 

書面送付が完了したら、入居者一人一人に直接説明に行きましょう。もちろん、突然訪問したとしても留守の場合もありますし、入居者の迷惑になり悪印象を与えてしまう可能性が高いので、事前に本人に対して連絡し、説明のための時間を確保してもらいましょう。貸会議場などを押さえて一度に説明する方が楽と考えるかもしれませんが、その方法はあまりオススメではありません。

この場合、入居者を一堂に集めることになり、普段面識のない人だとしても、立ち退きに反対だと一致団結されて、大きな反対運動に発展してしまう恐れがあるからです。また、入居者がつながって、不当に立ち退き料を吊り上げるため、口裏を合わせるなんて可能性もあります。こういった事態にならないためにも、一人ずつ丁寧に立ち退き交渉を進めるようにしましょう。

STEP3 立ち退き料の交渉を行う

 

立ち退き交渉を素早く終わらせるためのポイントとしては、適性な立ち退き料を支払うという点です。ほとんどの入居者は、適切な立ち退き料を負担することで、一定の期間内には退去に協力してくれるはずです。

なお、入居者が納得する適切な立ち退き料は、『引越し費用+α』と考えてください。貸主の都合で引っ越ししなければいけないわけですので、現物件と同等の物件に引っ越しするためにかかる敷金や礼金、さらには引っ越し作業にかかる費用を貸主側で負担するとともに、それにプラスして迷惑料としていくばくかの費用を支払うことで合意の上での退去がスムーズにいくと思います。

注意が必要なのは、焦って高額過ぎる立ち退き料の請求に応じてはいけないということです。引っ越し費用や、同等物件を借りる際の初期費用などは、あくまでも実費をベース考えるべきです。したがって、立ち退き料に関しては、引っ越し業者や不動産会社から発行される明細や請求書などのコピーを提出してもらい、支払うようにしましょう。なお、+αの部分に関しては、個別の判断が必要になる場合もあるので、弁護士などの専門家に相談すると良いでしょう。

STEP4 退去をしてもらう

 

STEP1-3の流れがスムーズにいけば、最後に退去の手続きになります。通常であれば、退去の1カ月前などに入居者から退去通知を出してもらうのが一般的ですが、立ち退きの場合は、引っ越しの準備が整えば、可能な限り早く出て行ってもらうのがオススメです。
そのために、最後に1カ月分は家賃を免除する、敷金を全額返すなどと言った対応を行いましょう。そもそも、建て替えをするのですから、原状回復のことは考えなくても良いわけですので、積極的に退去に協力してくれるよう、入居者の印象を良くした方が良いです。

貸主都合による立ち退きのポイント

 

それでは最後に、貸主の都合で入居者に立ち退きを申し出る場合に押さえておくべきポイントを簡単にご紹介しておきます。

絶対に押さえておくべきなのは、貸主の都合によって立ち退きしてもらいたいという場合、原則として賃貸借契約満了の6~12カ月前までに入居者に伝えなければいけません。これは、「入居者も引っ越しの準備が必要だから」という以前に、借地借家法で、次のように定められているからです。

第二十六条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。
2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。
3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。
引用:e-Gov|借地借家法

立ち退きを円滑に進めるためには、入居者ひとりひとりに訪問し顔を合わせて丁寧に説明する必要があります。しかし、実際に丁寧にお願いしたとしても、立ち退きに応じたくないという入居者も出てくると思いますので、その時には立ち退き料の交渉を進めましょう。

立ち退き料について

 

立ち退き料に関しては、「いくら支払わなければいけない」と言った法律の定めなどは特に作られていません。一般的には、家賃の6カ月〜12カ月分とされることが多いようで、この金額は、次の引っ越し先の契約や引っ越し作業などにかかる費用の実費程度に相当すると考えられるからです。
しかし、立ち退きに前向きでない入居者がいた場合、状況によって立ち退き料をある程度上乗せしてお願いする必要なども出てきます。建物の老朽化などが原因の場合、地震があった時の危険や建て替えの必要性を丁寧に説明するものですが、それでも立ち退きに前向きにならない…という場合、個別に立ち退き料の交渉を進めましょう。なお、一部の入居者に対してだけ、立ち退き料の上乗せをするという場合、他の入居者との兼ね合いもあります。このような場合には、「絶対に他言しないように」とお願いするだけでなく、「他言した場合は立ち退き料を支払わない」と言った覚書を交わしておくようにしましょう。

立ち退きに前向きでないという方の中には、高齢で次の物件が見つかりにくい…ことを心配している場合も多いです。したがって、立ち退き料の交渉ではなく、引っ越しの支援をすることで立ち退きを円滑に進められる場合もあります。例えば、同じ地域内にある似たような物件を紹介したり、まとめて引っ越しを依頼できる業者を見つけ、引っ越し費用の値引き交渉を貸主側がしてあげるなど、引っ越しのハードルを下げることで立ち退きに前向きになってくれる可能性が考えられます。

こういった交渉を行ったうえで、立ち退きに同意してもらえたら、賃貸借契約の解除に関する合意文書を交わしておきましょう。上述したように、賃貸借契約は貸主と借主双方の合意が無ければ解除できませんので、必ず契約解除した旨を文書で残しておきましょう。なお、立ち退き料に関しては、引っ越しが完了してから支払うようにしてください。先に支払ってしまうと、いざ期日になっても退去しない…など、余計なトラブルの可能性があります。

まとめ

 

今回は、貸主の都合で入居者に退去してもらいたいとなった場合の手順についてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、賃貸物件の所有者であっても、貸主の都合だけを優先して賃貸借契約を解除し、出て行ってもらうことなどできないのが日本の法律です。老朽化による建て替えと言った理由があったとしても、入居者にきちんと説明し、退去に合意してもらわなければいけないのです。

賃貸経営者であれば、いつこのような事態になるか分かりませんし、この記事でご紹介した内容は頭に入れておきましょう!

執筆スタッフ株式会社アイ・ディー・シー広報

株式会社アイ・ディー・シー広報のMです。
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