不動産投資で節税ができる?具体的にどんな節税の仕組みになるのかはおさえておこう!
不動産投資は、賃貸アパートなどを所有して、家賃収入で利益を出すことを目指すものですね。しかし、不動産投資は、真正面から利益を出すことを目指すだけでなく、節税効果があるという話を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。例えば、サラリーマンの方は不動産を所有したり運用したりすることで所得税を節税できるといった話や、贈与や相続時にかかる税金を節税できるなんて話が有名です。
実際に、近年では、さまざまな不動産投資関連のセミナーが開催されるようになっているのですが、セミナーの集客のために『不動産投資の節税効果』がかなりピックアップされるようになっています。こういったことから、弊社にお問い合わせいただくお客様の中にも、「本当に節税効果があるのですか?」と言った質問をしてくる方が多くなっています。
そこでこの記事では、不動産投資の節税の仕組みを知りたいと思っている方に向け、具体的にどのような仕組みで節税が実現するのかをご紹介しておきます。
不動産投資で節税できる税金とその仕組み
それでは、不動産投資による節税がどのような仕組みで実現するのかを、具体的な税金を出してご紹介していきましょう。
そもそも不動産投資というものは、将来的な資産形成を目的として行うものです。ローンなどを利用し、大きな資金を使用することなく物件を購入することで、ローン完済後に大きな価値を有する資産を作るというのが主目的となっています。そして、不動産投資は、節税対策にもなるという点が注目され、近年では一般のサラリーマンの方などもスタートしているのです。
なお、不動産投資による節税効果があるのは、所得税や住民税、贈与税、相続税などですので、以下でそれぞれの税金について、なぜ節税ができるのかという仕組みをご紹介していきます。
■所得税・住民税について
日本国民にとって、消費税と並んで身近な税金と言えるのが所得税と住民税なのですが、不動産投資はこれらの節税対策になります。簡単にその仕組みを解説すると、帳簿上で不動産所得が赤字になれば確定申告時に他の所得と損益通算され、トータルの課税額が少なくなるという感じです。最近では、サラリーマンをしている方など、他の収入を持っている方が不動産投資をするケースが多いのですが、これは適切に経費計上することで、所得税や住民税を節税できるという効果があるからです。ただし、適切に計上できなければ意味がありませんので、その辺りを以下でご紹介しておきましょう。
☑所得税・住民税の基礎知識
所得税と住民税について、改めて解説する必要はないかもしれませんが、簡単にその内容をご紹介しておきます。所得税は、収入から必要経費を差し引いて算出される所得に課される税金のことです。一般的に、会社員などのサラリーマンの方は、あらかじめ所得税を差し引かれて給与として振り込まれるという感じです。住民税は、都道府県と市区町村から課される税金で、所得額に応じて税額が決められています。
なお日本は、所得金額が大きくなるほど税率も大きくなる累進課税制度が採用されていて、以下のような税率になっています。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
上表は国税庁の公式サイト内で紹介されている所得税の速算表となります。税額は、課税対象となる所得金額に税率を掛け合わせ、控除額を差し引くことで算出します。例えば「課税される所得金額」が7,000,000円の場合には、求める税額は次のようになります。『7,000,000円×0.23 – 636,000円= 974,000円』
参考:国税庁公式サイト
☑所得税・住民税が節税できるのは?
それでは、所得税・住民税が節税できる仕組みについても解説しておきましょう。所得税には、各種所得の合計額に課税される「総合課税」と、ほかの所得と合算することができず、個別の納税が義務づけられている「分離課税」が存在します。そして、総合課税の対象となるのが、給与所得や事業所得などで、不動産投資による所得も総合課税の対象となるわけです。
そして、総合課税は、黒字の所得から赤字所得を差し引いて計算するという「損益通算」ができるのが大きなメリットなのです。つまり、不動産投資で赤字が発生したとしても、それの赤字を給与所得などと損益通算することで相殺でき、結果的に「課税される所得金額」が少なくなることから、節税ができるという仕組みになるのです。
なお、不動産投資では、さまざまな費用を経費として計上することができますので、何が経費計上できるのかはしっかりと押さえておきましょう。不動産投資で経費計上できるものは、以下の記事でまとめています。
関連記事:アパート経営をするなら知っておきたい『経費』の種類について
■贈与税について
不動産投資のメリットとしてよく言われるのは、現金に換えて贈与するより、不動産のまま贈与するほうが節税になるということです。近年では、財産として残すのではなく。投資物件として残す方が節税になるうえ、家族の生活を守る手段にもなると不動産投資が注目されています。
そもそも贈与税というものは、他人から財産を受け取った際に、受け取った側に課せられるものです。贈与される財産については、110万円の基礎控除が設定されているので、年間合計110万円までは財産を贈与しても贈与税はかからないとされています。ちなみに、贈与税は、『(受け取った財産額-110万円)×税率-控除額』という計算式算出されます。以下に、国税庁で公表されている、贈与税の速算表をご紹介しておきます。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | – |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
参考:国税庁公式サイト
☑贈与税絶税の仕組み
不動産を贈与する際は、国税庁が定めた「相続税評価額」を使用して計算を行います。不動産の贈与は、時価ではなく相続税評価額により贈与税を算出するのが基本的なルールになっているのです。
そして、この方式により算出される不動産の評価額は、時価よりも2~3割程度下がってしまうものなのです。つまり、不動産を現金にかえてから贈与するよりも、不動産のまま贈与する方が計算のもととなる金額が小さくなるので節税につながるという仕組みになっています。
注意が必要なのは、不動産の取得直後に贈与した場合、あからさまな節税対策とみなされてしまう恐れがあるということです。
■相続税について
最後は相続税についてです。不動産の相続は、不動産の所有者が亡くなった時点で、所有権が移転していない場合に発生します。ちなみに、不動産投資による相続税の節税の仕組みについては、贈与税と同じです。
要は、時価1億円の不動産の場合、それを売却して相続したとすれば、1億円がそのまま課税対象となってしまいます。しかし、これが不動産のままとなると、評価額が8,000万円程度まで下がりますので、2,000万円分の節税が期待できるという訳です。
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まとめ
今回は、不動産投資のメリットとして紹介されることが多い「不動産投資で節税ができる!」という話について、どの税金をどうやって節税するのかについてご紹介してきました。この記事でご紹介したように、節税の仕組みに関しては、そこまで複雑な物ではなく、「赤字を損益通算する」「現金にするよりも評価額が低くなる」ということから節税効果を得られるというものです。
近年では、この節税ができるというメリットが強く押され、不動産投資についてあまり理解しないまま不動産投資をスタートしてしまう人も多いようですね。しかし、本来不動産投資というものは、将来の収益獲得や資産形成が主目的となるものですので、節税効果ばかりを期待するのは本末転倒な話と考えましょう。極端に言えば、「不動産経営で出た赤字」で所得税を節税するなんて方法であれば、不動産投資なんてしない方が支出は少なくなるはずですよね。節税を主目的とした不動産投資は、本末転倒と言わざるを得ませんし、本来の目的はズレないようにしましょう。