Mirai Lab.賃貸経営の未来を作るコラム

賃貸中の物件って家賃を上げることができるものなの?

賃貸経営を行っている大家さんであれば、賃貸中の物件について家賃の改定を行う…と聞けば、退去を引き留めるために「家賃を下げる!」という感じに、家賃の値下げ交渉ばかりをイメージするのではないでしょうか。しかし、どのような商売でも同じですが、「値上げを検討したくなっている…」というような状況に追い込まれることも考えられますよね。それでは、賃貸物件において、既に入居者が付いていて、それなりに安定した賃貸収入があるような状況で、入居者に対して「家賃の値上げ交渉」などできるものなのでしょうか?

普通に考えると、家賃を上げてしまうと空室が生じてしまいそうで、「家賃の値上げなんてできないのでは…」と考えてしまうと思います。ただし、このご時世ですから、家賃収入が安定していたとしても、支払いの金額が増額してしまい、賃貸経営が苦しくなってきた…赤字だ…なんて状態なら、値上げせざるを得ないですよね。

そこでこの記事では、賃貸中の物件について、家賃の値上げをしたいと思った時、その行為が法律的に可能なのかどうか、実際に入居者に家賃値上げの相談をするときの注意点などをご紹介します。

賃貸中の物件について、家賃は値上げできる?

 

賃貸物件の家賃は、賃貸借契約書の中に金額が明記されていますし、入居の際に決めた金額は変動するようなことはなく、固定額となっています。しかし、入居者と契約した時の世相と経済状況などが変わってきた場合には、値上げを検討したくなるということも珍しくないのです。

例えば、「うちの物件だけ、周辺の相場に比べると、家賃設定が安くないか?」と言った疑問を持った際には、値上げを考えたくなるものです。あまりこのような状況になるようなことはないと考える方も多いですが、例えば近くに便利な商業施設が進出してきたなどとなった場合、入居してもらう時の状況とは周辺相場が大きく変わってしまっているなんてことも珍しくないのです。
したがって、入居時に交渉されて、家賃を大幅に下げていた…という場合、物件の周辺エリアが便利になり、自分の物件だけ家賃相場が安すぎる…と悩んでしまうケースも意外に珍しくありません。もちろん、家賃が安ければ、長く住んでもらうことが期待できますが、固定資産税などが上昇してしまう…という状況になると、賃貸経営が赤字続きになってしまう…なんてことになる恐れがあるのです。

それでは、入居時に交渉して契約書にまで明記している家賃について、後からその家賃を値上げすることなどできるものなのでしょうか?

家賃の値上げはできる?

 

賃貸中の物件における家賃の値上げについては、借地借家法で以下のように定められています。

(借賃増減請求権)
第三十二条 建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
引用:e-Gov|借地借家法

このように、いくつかの条件を満たしていれば、家賃の値上げを入居者に申し出ることは可能です。もちろん、大家さん自身が、単に自分の収入をもっと増やしたいという理由で値上げに踏み切ることはできません。値上げ交渉が可能なケースと言うのは、以下のような事由がある場合です。

  • ・物件の地価が高騰し、固定資産税など租税が増額された
  • ・物価の高騰など経済情勢の変動があった
  • ・近辺の家賃相場と比較して明らかに自分の物件が安い

上記のような正当な事情がある場合、賃貸借契約中の物件であっても、家賃の値上げを入居者に請求することができます。

こう聞くと、「家主が保護されすぎでは?」と考えてしまう方も多いのですが、この定めは何も、大家さん側を一方的に保護しているのではなく、借主側が大家さんに対して家賃の減額請求をする際にも当てはまる条文です。例えば、賃貸借契約をした当時で考えれば、相場程度の家賃だったものが、社会情勢などが大きく変わり、周辺物件との相場を比較した場合、明らかに高くなってしまった…と言う場合には、それを理由に借主が家賃減額請求をすることも可能なのです。

ちなみに。賃貸借契約書の中で、「一定期間は家賃の値上げを行わない」「〇〇年〇〇月以降は家賃を〇〇〇円増額する」と言った特約を定めている場合、その特約が優先されます。

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実際に家賃の改定を行うには?

 

ここまでの説明で、「正当な事情がある」とみなされる場合は、賃貸中の物件であっても入居者に対して家賃の値上げを請求することはできると分かっていただけましたね。それでは、実際に家賃の値上げを行う場合の注意点についても解説しておきましょう。ここでは、家賃の値上げをする場合のポイントをご紹介しておきます。

両者の合意が必要

 

一般的な賃貸借契約書では、必ずと言って良いほど「家賃の改定」に関してきちんと契約条文が記載されており、「借主・貸主協議の上」となっているはずです。この意味に関しては、家賃の改定については、増額・減額どちらの請求をするにしても、『お互いの合意が無ければ成立しない』と言うことを意味しています。

そもそも、入居者からすれば、毎月滞納もせずにしっかりと家賃の支払いを行っていたのに、突然家賃の値上げを請求されたとなれば、まさに青天の霹靂な訳です。もちろん、大家さんからしても、真面目に家賃を支払ってくれている入居者に対して、家賃の値上げを持ちかけるのはなかなか言いにくい事です。
さらに、突然家賃の値上げ請求をされてしまうと、借主が腹を立ててしまうことも珍しくなく、その交渉をきっかけに退去者が続出してしまう…なんてこともあると考えておかなければいけません。家賃の値上げ請求をする場合には、借主にとっては「ショックが大きい」と言うことを理解し、「なぜ値上げせざるを得ないのか」「値上げに値する理由が何か」をしっかりと提示できるようにしましょう。ここで、入居者さんが納得できるような資料を準備できるかどうかが、その後の賃貸経営を左右してしまいます。

■入居者には値上げを断る権利がある

上述したように、家賃の改定は、両者の合意が無ければいけないと定められています。つまり、入居者からすれば、大家さんが値上げを請求してきたからと言って、必ずしもそのまま応じる必要はなく、値上げを断る権利を持っているのです。
ただ、大家さん側が「家賃の値上げが妥当」だと考えられる資料などをきちんと用意している場合、入居者は感情のみで「値上げは嫌だ」などと無下に断ることも難しくなります。この場合、大家さん側の事情などもきちんと理解して、入居者側も妥当性がある主張を持って話し合う必要があると思います。家賃の改定は、あくまでも両者の「協議の上」で決めるものなので、値上げ幅の調整をしたり、更新や退去時の費用などで調整して、改定を目指せば良いでしょう。

値上げの告知時期は

 

家賃の値上げ請求に関しては、解約通知のように、1か月前、半年前と言った予告期間の定めなどはありません。入居者が認めるのであれば、1年前に告知しようが、1週間前に告知しようが問題ないという扱いです。

一般的には、その後の扱いなどを考えて、契約更新などのタイミングを見計らい、相談するというケースが多いようです。ただし、入居者側にも検討する期間や交渉する期間が必要と考えると、更新時期の数カ月前など、ある程度余裕を持ったスケジュールを組んであげることをお勧めします。

賃貸借契約書は作り直すのか?

 

それでは最後に、入居者に家賃値上げの請求を行い、両者の合意を得て家賃改定が決まった場合の書面手続きについてもご紹介しておきます。家賃の改定が決まれば。賃貸借契約書の再契約が必要なのか…と考える方が多いのですが、この場合は、再契約などはせずに覚書などで対処することができます。

なお、改定後の更新料や、退去時の敷引き金・補修費など、家賃〇ヶ月分といった単位で計算する費用についても、何の取り決めも行わなかった場合、後々「旧家賃なのか?新家賃なのか?」と言ったことでトラブルになる可能性があります。したがって、書面を交わす際に、この辺りについて、旧家賃、新家賃、どちらを今後の基準にするのかもはっきりと記載しておきましょう。

まとめ

 

今回は、賃貸中の物件において、何らかの問題で「家賃の値上げをしたい…」と考えた場合の対処についてご紹介してきました。

この記事でご紹介したように、賃貸中の物件における家賃の値上げに関しては、正当な事情があるケースであれば法的にも認められる請求と言えます。ただし、あくまでも貸主・借主両者の合意のうえでなければ、家賃の改定はできないという取り決めがあるはずなので、一方的に「家賃の値上げをします!」と書面送付すれば良いというものではないと考えて下さい。

なお、家賃の値上げに関しては、周辺相場よりも高いから…という理由があるにせよ、入居者にとっては非常に驚きの請求になるということは忘れてはいけません。場合によっては、家賃の値上げ交渉をスタートすることで、空室がたくさん出てしまい、余計に賃貸経営が苦しくなる…なんてことも考えられますので注意しましょう。

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執筆スタッフ株式会社アイ・ディー・シー広報

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