Mirai Lab.賃貸経営の未来を作るコラム

改正民法施行後の賃貸借契約のルールについて!いくつかの事例から変更点を押さえておこう!

今回は、2020年の民法改正により、賃貸借契約のルールがどう変わったのかを解説していきたいと思います。このサイト内でも、改正民法が賃貸経営にどのような影響を与えるのかを何度か解説しており、特に原状回復や家賃の減額が当然にと言った変更点に関する記事へのアクセスが非常に多いです。民法が改正されてからそれなりの期間が経過しているのですが、実際にどういった変更があるのかはイマイチ実感できていない方が多いのだと思います。

そこでこの記事では、法務省が公表している資料を参考に、改正民法が賃貸経営者に大きな影響を与えるケースをいくつかの事例に分けてご紹介していきます。なお、2020年の民法改正で、賃貸借契約に関連する変更に関しては、以下のようなポイントを押さえておきましょう。

  • ・賃借物の修繕に関する要件の見直し
  • ・賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
  • ・賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化
  • ・敷金に関するルールの明確化
  • ・賃貸借契約から生ずる債務の保証に関するルール

それぞれのポイントについて、賃貸経営者がおさえておくべきルールの変更点をご紹介します。

「賃借物の修繕に関する要件の見直し」について

 

従来の賃貸借契約では、借りている物件で雨漏りがする、エアコンが故障した…など、賃貸物に何らかのトラブルが生じて修繕が必要になったとしても、物件そのものはあくまでも「賃貸人のもの」ですので、賃借人が勝手に手を加えることができないというルールになっていました。それでは、実際に部屋を借りている方が、以下のような問題に直面した時には、どうなってしまうのでしょうか?

■事例①
AさんがBさんから借りて住んでいる家で、備え付けのエアコンが故障してしまった…。Aさんは、生活に支障が出るため、大家さんであるBさんに何度も修理の依頼をしているけれど、なかなか修理をしてくれない。
■事例②
AさんがBさんから借りて住んでいる家について、台風で屋根が破損してしまい、雨漏りが始まってしまった…。雨が降ると、家財が濡れてしまうので、すぐに修理したい!

このように、賃貸人の所有物であるのは間違いないのですが、実際に住んでいるのは賃借人で、何らかの問題があって修理を依頼してもすぐに対応してもらえなければ困ってしまうのは借りている人になります。このような状況は、やはり賃借人が不便で不利だと判断できるのですが、改正前の民法では、賃貸人が対応してくれなかった場合、「賃借人が自分で修理することができるのか?」を定めた規定などはなかったのです。
そこで、2020年の民法改正で、以下のようなルールが作られました。

改正後の民法では,
①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知したか,又は賃貸人がその旨を知ったのに,賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき
又は
②急迫の事情があるときには,賃借人が目的物を修繕することができることとされました。
引用:法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し

このルール改正により、上記の①や②に該当する場合、賃借人が目的物の修理のために自分で修繕を手配しても、賃貸人から責任を追及されることが無いことが明確になっています。なお、「急を要する」と言う条件は、真夏にエアコンが故障して修理しないと熱中症の危険があるなど、明確な理由が必要になります。そして、賃借人が修理を手配した場合、修理にかかった費用は賃貸人に請求できることになっています。

自信があるから公開します

当社管理物件の驚異の入居率

94.29%
1月
94.67%
2月
97.51%
3月
96.51%
4月
95.52%
5月

当社管理物件の入居率を見る +

「賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化」について

 

近年では、20代の若い方でも区分マンションなどを購入し、賃貸経営をスタートすると言ったことも珍しくありません。一昔前と比較すれば、不動産投資がオープンな業界になってきており、物件の売買なども盛んになっています。そのため、入居者がたくさんいるような賃貸物件の売買も当たり前のように行われているのですが、意外にトラブルになるケースもあるのです。例えば、以下のような事例が考えられます。

■事例①
Aさんは、Bさんに対して自分が所有する物件を貸していたが、賃貸契約期間中にCさんにその物件を売却した。新しい所有者となったCさんは、Bさんに対して賃料を請求したが、BさんはAさんから借りていた物件なのだし、どちらに払うべきか分からない…などと言って、支払いを拒否してきた。

このように、賃借人が知らないうちにオーナーが変わってしまうということは当たり前にあるのですが、賃貸借契約の期間中に建物の所有者が変更になった場合、その後賃貸人が誰になるのか、また新しい所有者が賃料を請求することができるのかについて、従来の民法では何の規定もなかったのです。そのため、上記のようなトラブルの可能性があるのです。そこで、2020年の民法改正では、以下のようなルールが設けられています。

改正後の民法では,
賃貸借の対抗要件を備えていた場合に,賃借物である不動産が譲渡されたときは,賃貸人としての地位は,原則として不動産の譲受人(新たな所有者)に移転するという規定を設けました。
また,不動産の譲受人(新たな所有者)が,賃借人に対して賃料を請求するためには,貸借物である不動産の所有権移転登記が必要である旨の規定を設けました。
引用:法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し

上述した事例で考えれば、Cさんが賃借物である建物の所有権移転登記を行えば、賃料請求をすることができ、Bさんは賃料を支払わなければいけなくなります。

「賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化」について

 

賃貸経営において、入居者とのトラブルが発生してしまう可能性が最も高いのが原状回復についてでしょう。従来の民法では、賃貸借契約が終了した場合、賃借人は、賃借物をもとの状態に戻して(原状回復)賃貸人に返還しなければならないと解されています。なお、原状回復義務の範囲については、一般に、通常損耗(賃借物の通常の使用収益によって生じた損耗)及び経年変化はその対象に含まないと解されています。しかし。これらのルールに関しては、民法の文言上に明確に記載されているわけではなかったのです。そのため、以下のような事でたびたびトラブルが発生していたわけです。

■事例①
Aさんは、Bさんから借りていた部屋を退去することになったが、原状回復として日焼けしたクロスの張替え費用なども負担するように求められた。Aさんとしては、クロスは経年劣化なのだから、その張替え費用の負担に納得ができずトラブルに。

このように、原状回復の範囲について、賃貸人と賃借人の間で認識違いが頻繁に起き、支払い拒否などのトラブルが発生するわけです。そこで、2020年の民法改正で、以下のようなルールが設けられています。

改正後の民法では,
賃借人は,賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと,しかし,通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないことを明記しました。
引用:法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し

これにより、賃貸人が請求できる範囲と、賃借人が支払わなければならない範囲が明確化され、トラブルの減少が予想できます。

「敷金に関するルールの明確化」について

 

賃貸トラブルに関しては、敷金に関するものも多いです。敷金は、賃貸借に基づいて賃借人が負うことになる金銭責務を担保するため、賃借人が賃貸人に交付する金銭のことです。そして、退去時に原状回復費などを差し引かれて敷金が戻ってくると考えている入居者がほとんどです。この敷金の返還についてトラブルになるわけです。

■事例①
Aさんは、入居時に「保証金」という名目で賃料債務などの担保として金銭を差し入れていた。賃貸借契約が終了し、退去の際に返還されるものと考えていたが、賃料の滞納などなかったのに、退去しても差し入れた金銭の返還をしてくれない。

このような状況でトラブルになるケースが多いです。実は、建物の賃貸借に当たっては、敷金などが授受されるのが一般的なのですが、改正前の民法では、敷金の定義や返還請求権の発生時期に関する規定などが無かったのです。そこで、こういったトラブルの増加を受け、以下のような変更が加えられています。

改正後の民法では,
これまでの実務に従い,敷金を「いかなる名目によるかを問わず,賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で,賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義しました。
その上で,判例に従い,賃貸借契約が終了して賃借物が返還された時点で敷金返還債務が生じること,その額は受領した敷金の額からそれまでに生じた金銭債務の額を控除した残額であることなどのルールを明確化しています。
引用:法務省「賃貸借契約に関するルールの見直し

まとめ

 

今回は、2020年の民法改正が、賃貸経営者にどのような影響を与えるのかについて解説してきました。各ポイントについて、事例をもとにご紹介していますので、ある程度分かりやすかったのではないかと思います。

民法改正後の賃貸借のルールについては、原状回復や敷金の取り扱い、物件の修繕義務など、賃貸経営を行っている方にとってはそれなりに大きな影響が考えられるものが多いので、それぞれのポイントについては、しっかりと調べておくのがおすすめです。なお、改正民法が賃貸経営に与える影響については、以下の記事が参考になると思いますので、時間がある時にでもぜひご覧ください。

> 民法改正関連の記事一覧

  • 賃貸経営
  • 民法改正

人気記事でのセミナー開催中

お気軽にお問い合わせください!
開催中のセミナーはこちら

執筆スタッフ株式会社アイ・ディー・シー広報

株式会社アイ・ディー・シー広報のMです。
当サイトのコンテンツにつきましては在籍のCPM米国認定不動産経営管理士、不動産コンサルティングマスター、賃貸不動産経営管理士、宅地建物取引士、相続支援コンサルタント、住宅ローンアドバイザー、ファイナンシャルプランナーの監修のもとで質の高い情報をお届けできるよう、日々更新しております。

  • TOP
  • ブログ
  • 改正民法施行後の賃貸借契約のルールについて!いくつかの事例から変更点を押さえておこう! | 株式会社アイ・ディー・シー