転勤する時には、みんな持ち家をどうしている?代表的な選択とそれぞれのメリット・デメリット
今回は、転勤が決まった時の自宅の取り扱いについて考えていきたいと思います。近年では、持ち家などは所有せず、一生賃貸住宅で生活するという選択をする方も増えていますが、それでも、マイホームの購入を人生の目標としている方もまだまだ多いと思います。
それでは、せっかくマイホームを購入したのにもかかわらず、仕事の関係で遠方に転勤を命じられた…と言うケースでは、自宅の取り扱いはどうすれば良いものなのでしょうか?賃貸で暮らしている方であれば、転勤先で賃貸住宅を借りれば良いだけなのですが、マイホームを所有している場合、家を持っていくわけにはいきませんし、誰も住まなくなる家の取り扱いに困ってしまいますよね。大金をかけて購入した大切な家ですので、売却するのもなかなか決心がつかないという方も多いですし、賃貸にするのもなんとなく嫌だし…、なかなか持ち家の取り扱いが決まらない…と言う方は多いようです。
そこでこの記事では、転勤が決まった際、持ち家の代表的な取り扱いと、それぞれのメリット・デメリットをご紹介していきたいと思います。
転勤が決まった時の持ち家の選択肢について
それではまず、持ち家がある人で、遠方に転勤が決まったという場合、家をどうすれば良いのかについて考えてみましょう。こういった時には、「売却する」「賃貸に出す」「空き家にしておく」「単身赴任をする」という4つの選択肢が考えられます。もちろん、それぞれの選択肢は一長一短がありますので、以下で見ていきましょう。
売却する
一つ目の選択肢は、「売却する」と言うものです。家の価値は、築20年目まで急激に下落するものですので、いつ転勤から戻ってこれるのか分からない…と言うケースでは、思い入れがあったとしても、最も高く売れるうちに売却してしまうという選択をする方も多いです。売却してしまえば、転勤先に新たな家を購入する場合、頭金として使うこともできますし、家の劣化などによる価値の低下も気にならなくなります。
この選択肢のメリットとデメリットは以下のような感じです。
■売却するメリット
- 売却益によって新しい住まいの選択肢が増える
それなりの高値で家が売れた場合、転居先の新しい住まいの選択肢の幅が大きく広がります。転居にかかる費用などは会社が負担してくれるでしょうが、新しい住まいは自分たちで用意しなければならないので、経済的な心配をしなくて良いのは大きなメリットです - 管理の不安が無い
賃貸や空き家状態にする場合、さまざまな管理が必要になります。例えば、賃借人から設備や建物の不具合が報告されれば対応しなければいけませんし、空き家も放置していてはいけません。そのため、そこに住んでいなくても管理の手間やコストがかかるわけです。売却すれば、こういった問題の心配が一切なくなります。
■売却するデメリット
- 売却するのに手持ち資金が減るケースがある
まだ住宅ローンが完済されていない持ち家の場合、ローンを完済しなければいけません。売却金額だけでは完済ができない場合、手持ちの資金から補填しなければいけないので、売却前にきちんと完済できるのかは確認しておきましょう。 - 新居探しと売却の同時並行は大変
持ち家は売って、転勤先で新たな住まいを探す…と口で言うのは非常に簡単なのですが、実際にこれを行うのはかなり大変です。特に、物件の売却は、できるだけ高く買ってもらうために時間をかけて用意したいでしょうし、そうなると新居の準備に時間が無くなってしまいます。最終的に、どちらも不満が残る結果になってしまう…と言うケースが多いので注意しましょう。
賃貸する
二つ目の選択肢は、一時的に人に貸すという方法です。要は、賃貸物件として運用するという方法ですね。これは、ある程度の期間は転勤先で頑張らなければならないものの、〇年程度で確実に戻ってこれるとわかっているケースでオススメです。家は、長期間人が住まない状態で置いておく方が劣化が早くなってしまうと言われていますし、一時的に他人に貸すことで、賃貸収入を得ながら家の状態を保てるという方法になります。
それでは、賃貸を選択した場合の具体的なメリットとデメリットもご紹介しておきましょう。
■賃貸するメリット
- 家賃収入が得られる
賃貸に出すことの最大のメリットは、やはり家賃収入が得られるということです。住宅ローンが残っていたとしても、家賃収入で賄うことができ、転居先の家賃と二重払いに苦しむ…なんてこともなくなります。なお、住宅ローンが残っている状態であれば、賃貸に出して良いか先に金融機関に相談しなければいけません。転勤など、正当な理由があれば許可してくれるケースが多いです。 - 家の状態が保てる
上述したように、家は空き家の方が早く劣化が進むと言われています。人が住んでいれば、適度に換気などをしますので、家がある程度良い状態で保てるようになるのです。これは人に貸すメリットです。
■賃貸するデメリット
- 良い入居者ばかりとは限らない
メリットでご紹介したポイントとは逆に、賃貸に出すことで家の状態が悪くなってしまう可能性も実はあります。と言うのも、入居者をきちんと審査しておかなければ、家を雑に扱ったり、傷や汚れをつけてしまうような使い方をする人を選んでしまう可能性があるのです。他にも、家賃滞納や近隣トラブルを起こすなど、入居者とのトラブルの可能性がある点がデメリットです。 - 最初の予定がズレても対応できない
転勤などを理由に一時的に持ち家を賃貸する場合、定期借家契約などを交わします。これは、最初に決めた期間で賃貸借契約が終了するというものなのですが、逆に言うと、この契約期間中は入居者に出て行ってもらうことができないわけです。例えば、転勤が予想以上に早く終わったとしても、入居者が同意してくれなければ追い出すことなど出来ません。つまり、転勤が終わり、持ち家があるのに、賃貸住宅を借りなければならなくなるケースもあるのです。このように、臨機応変な対処ができない点はデメリットでしょう。
空き家する
三つ目は、空き家状態にしておくという選択です。これは、転勤の期間がごく短いというケースや新築したばかりで他人に使われたくないという方が選ぶことになります。この場合のメリット・デメリットは以下のような感じです。
■空き家にするメリット
- 面倒な手間やトラブルの心配が無い
賃貸や売却の場合、どうしても手間やコストがかかってしまいます。さらに、入居者や購入者との余計なトラブルの可能性もあるでしょう。空き家状態で置いておく時には、こういった面倒ごとが無いのがメリットです。 - 急な計画変更でも対処できる
空き家状態で、適切に管理しておけば、急に転勤期間が短くなる…なんて場合でも柔軟に対処できます。
■空き家にするデメリット
- コスト負担が大きくなる可能性が…
住宅ローンが残っている場合などは、転居先の家賃と住宅ローンが二重にのしかかってくるという点がデメリットです。 - 家の劣化が早くなる
上述したように、家は人が住んでいない方が劣化が早くなります。これは、通風管理などがなされないことから、湿気やホコリが溜まってしまうからです。転勤先との距離によっては、自分達で定期的に家の管理を行うのも難しいので、空き家管理会社などに依頼するのもオススメです。 - 住宅関連の優遇措置が受けられなくなるかも
空き家状態にする場合には、住宅ローン控除が適用できなくなったり、住宅売却時の3000万円控除の特例からも外れてしまう恐れがあります。これらの問題は、想像以上に大きな痛手になるので、絶対に無視しないようにしましょう。
単身赴任
最後は単身赴任と言う生活スタイルです。要は、家族は持ち家に住んでもらったまま、一人で転勤先に引っ越すという手段になります。
この場合、家の状態や家に関わる管理面での問題などは特に気にする必要はありません。と言うのも、家族が住んだ状態のままですので、家の状態と転勤の有無は全く関係ありません。関係してくる部分は、生活拠点が二つになることから、生活にかかる費用負担が大きくなってしまうという問題ですね。他には、家族と離れて生活しなければならないという精神的な問題があるぐらいでしょうか。
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持ち家の取り扱いを決める際の確認ポイント
それでは、持ち家がある方について、上記の選択肢の中から自分に最適な手段を選ぶときのポイントについても考えてみましょう。
- 転勤の期間
まずは、転勤の期間から持ち家の取り扱いを考えると良いでしょう。例えば、転勤の期間が1年未満などと言った場合、売却や賃貸ではなく、空き家や単身赴任が望ましいと思います。転勤が終われば、1年未満で帰ってくるわけですので、売却などはもっての外でしょう。一方、数年単位や転勤の終わりが確定していないなど、長期にわたる転勤の場合、売却もしくは賃貸がオススメです。一般的には、転勤の期間が1年半未満なら空き家などとして残しておく、3年以上にわたる場合は売却か賃貸を選ぶのが良いと言われています。 - 会社の住宅補助の有無
転勤が決まった時には、転勤先の住宅補助の有無を確認しておくべきです。例えば、会社によっては、転勤先の住宅に関して、家賃の半額~全額を会社が支援してくれるといったケースもあるようです。このような制度があれば、持ち家の住宅ローンが残っていても、それを支払い続けることも難しくないでしょう。他にも、転勤先には社宅があり家賃負担が少ないなんて場合、持ち家を処分せずに済むかもしれません。ただ、このような場合でも、長期にわたる転勤なら、早めに売却する方が高値が付きます。 - 家族の意向
転勤は、自分だけの意向ではなく、家族の意向も確認しなければいけません。お子様がいるご家庭であれば、転校を嫌がられるケースも多いですし、共働きの場合、お互いのキャリアのことも相談しなければいけません。したがって、転勤の長さなども含めて、今後の人生設計をきちんと行い、その上で持ち家の取り扱いを決めなければいけないと考えてください。 - 住宅ローンの残債
持ち家の取り扱いを決める時には、住宅ローンの残債のことを無視することはできません。長期的な転勤だからと、売却を考えたとしても、住宅ローンが残っている場合、きちんと完済できるように売却計画もしっかり練らないといけないでしょう。その逆に、持ち家を残しておきたいというケースでは、転居先の家賃と住宅ローンが二重にかかってきますので、本当にその状態で生活ができるのかを検討しておかないと、後々後悔してしまいます。例えば、転勤が完了した後に「やっぱり売却しよう」となった場合、遠方からの売却手続きになってしまうので、何かと不便を感じてしまいます。
まとめ
今回は、転勤を決めた方について、今まで住んでいた持ち家の取り扱いについてご紹介してきました。転勤することになれば、転勤先で新たな住居を用意することになるのですが、実際に引っ越しを完了するまでの悩みの種となるのが「持ち家はどうする?」と言う問題ですよね。
このような時には、売却するか、賃貸に出すか、そのまま所有するかといった選択肢になると思います。もちろん、それぞれの選択肢ごとにメリット・デメリットが存在しますので、なかなか判断がしづらい問題になる事でしょう。そのような時には、「転勤はどの程度の期間になり、帰ってくる予定はあるのか?」「住居費が二重になったとして、それで家計が持つのか?」「転勤先の住居について、会社の補助はあるのか?」などのポイントから、どの選択肢にすれば良いのかを決めれば良いと思います。
なお、賃貸に出すにしても、売却するにしても、それなりに時間が必要になりますので、どの選択をするのかであまり迷っていられないとは思いますよ。